スライムおしゃれ花の売買で大損した話

夢の中で逢った、ような……

僧侶・魔法使い・賢者の3職で装備できる、バージョン2.1からの新装備退魔セット。特に、退魔のぼうしは従来品よりも攻撃魔力・回復魔力共に大幅にアップするということで大人気。バザー出品数もあれだけ猛威を奮っていた水のサークレットを軽く凌ぐ数字で、魔法職の新しい定番装備になりつつあった。

さて、それは5月5日・ゴールデンウィーク後半の夜の事。退魔のぼうしの生産素材にはスライムおしゃれ花が必要で、それが徐々に値上がりしているということには、倉庫整理をしていて気が付いていた。天井知らずの勢いで値上がりを続けているスライムおしゃれ花の相場を使って一儲けを企んでやろうかとバザーを眺めてみると、バザーに並んでいる常識的な価格のおしゃれ花を手持ちの現金で買い占められるという計算が成り立つことに気付いた。。

それはとっても嬉しいなって

  • 特に欲しい装備などがない
  • 手持ちの現金で買い占めができる
  • おしゃれ花のドロップはメタルブラザーズの通常とベホイムスライムのレアのみ
  • タンスに眠っているおしゃれ花も急激な値上がりでかなり放出されているはず

これは行けるんじゃないか――。スライムおしゃれ花を買い占めて値段を釣り上げ、釣り上がった価格で売りさばけば100万単位の儲けが転がり込んでくる。しかも、おしゃれ花は人気装備の素材で需要も高く、供給も少ない。だからこそバージョンアップから今の今まで値上がりを続け、それでも退魔のぼうしが高値で売れるから職人が買ってくれていたのではないか。

急いで所持品枠を空け、預かり所と屋根裏収納と収納家具の中を整理し、現金1100万ゴールドを手に5つの大陸とレンダーシアのバザーにすぐにアクセスできるルーラストーンを作る。オーグリードだけではない、すべてのバザーからスライムおしゃれ花を買い占めるのだ――。

もう何も怖くない

5月5日 午後10時 所持金1100万、おしゃれ花相場 単価3000

私はガタラの石、アズラン住宅村の石、チョッピ荒野の石、ジュレット東の石、レンドア南の石、それぞれの大陸のバザーを回り単価3500程度までおしゃれ花を買い集めた。さあ、そして最後は本丸のオーグリードバザー。再度、手持ちの現金と釣り上げたい値段までのおしゃれ花の合計金額を比べる。Excelのシートに必要な金額を書き出し、何とか足りそうなことを確認。いざとなったらサブにもいくらか現金はたまっているし、買い込んであった黄金の飾り短剣99個*1が最後の砦として鎮座している。

ためらいはいらない、本当の買い占めというのを見せてあげますよ。いざ、おしゃれ花を単価4000まで釣り上げるべく買い占めを――。

奇跡も、魔法も、あるんだよ

オーグリードのバザーに対し、21サーバー入り江の集落からスライムおしゃれ花の買い占めを開始する。単価3000、3100とバザーに並ぶおしゃれ花を順調に買い集め――何かがおかしい。

5月5日 午後10時過ぎ 所持金500万 おしゃれ花相場 単価3300

異変に気づいたのは、99個まとめ売りで単価3300を買い集めに入ってから。現金が減れども減れども、目標の単価4000が見えてこない。残り現金が400万を切る。このままでは単価3500すらたどり着けない。人の多い時間に大きなアクションをしたために、売り浴びせを受けてしまっているのか。わからない。とにかく、引けない――その一心で単価3490程度までのおしゃれ花を、飾り短剣を店売りしてサブの現金まで動員して買い集めた。大丈夫、需要はあるのだから値上がりするさ。

後悔なんて、あるわけない

5月5日 午後10時過ぎ 所持金数十万 おしゃれ花単価 3500弱 おしゃれ花所持数 3450

手持ちの動かせる資産はすべておしゃれ花に変えてしまった。その合計約3500個。値上がってくれるはず、後はそれを信じて待つだけだ。呼応して他の誰かも乗り遅れるなとばかりに相場に突撃してくるかもしれない。

今までだってそうやって投機で儲けてきた。どんな金策よりも転売が楽ちん簡単、それで築いてきた財産じゃないか。市場から大量のおしゃれ花が消えたら、確保に必死になった職人も、同じ目的の投機筋も参入してくるはず。信じて、待つしかないのだ。

こんなの絶対おかしいよ

しかし、そんな淡い期待は、すぐに絶望へと翻る。

オーグリードバザーに出品される単価3000を切るおしゃれ花の1個売り。99個売りも続々と安値の更新合戦。自らが3500近辺まで釣り上げたまとめ売りの単価が、3400、3350と下がり続け、ついには3300も割ろうとしているではないか。モニターの前で、呆然とするしかなかった。

めまいがする。これでは毎日やっていた真・災厄リプレーもする気にならない。寝るしかない。

本当の気持ちと向き合えますか?

5月6日 午前10時 所持金 112万 おしゃれ花単価 3340 おしゃれ花所持数 3391

翌朝。スライムおしゃれ花の99個まとめ売り単価は、相変わらず3300~3350近辺をウロウロしていた。この金額のまま推移してくれて売り抜けることができれば、大損をすることはない。需要が強いのであれば、バラ売りを梱包しながらまとめ売りを適宜出していくことで、価格を維持しつつ値上がりも狙えるはず。まとめ売りと梱包を繰り返していると、需要は均衡しているように見えた。しかしまとめ売りの単価は値下げ合戦でじわじわと下がっていく。

あたしって、ほんとバカ

5月6日 午後3時 所持金 53万 おしゃれ花単価 3300 おしゃれ花所持数 3634

地道な梱包作業が実を結び、おしゃれ花の時価を含めた総資産額は一時は1200万を突破。増えている。しかし、同時におしゃれ花の所持数も増え、リスクも一緒に抱え込んでいた。手元のおしゃれ花の数を減らしていかないと、という気持ちと裏腹に、単価の安いバラ売りを放置しておくとそれを同業者が買ってまとめ売りの駒にされ、値下げ合戦が過熱してしまうのではないかという恐怖。必死で梱包し続けた。

そんなの、あたしが許さない

5月6日 午後6時 所持金 246万 おしゃれ花単価 3100 おしゃれ花所持数 3035

転機というものは突然訪れる。

必死で維持していた単価3300のラインが、一瞬にして崩れ去った。ゴールデンウィーク最終日の午後6時頃、単価3100でまとめ売りをしてくる「奴」がいたのだ。そして、その大値下げに追従する複数の投機筋。こうなると、もう止められない。自分には買い支える体力などなく、含み損が瞬時に10万単位で発生する。そして、それでも売れない時間帯があったのか、粛々と値下げ合戦は続き、午後9時にはおしゃれ花の単価は3000を割っていた。このまま行けば100万単位での損となる――、自分で蒔いたリスクの種が、続々と花開きつつあった。

もう誰にも頼らない

損切りをすべく、単価3000付近でそのまま1500個ほど売却してその日は終了。塩漬けして値上がりを待つか、そのまま損切りを続けて撤退するか、半々というところで立ち止まっていた。

5月7~9日の平日の間も、私は身を焼かれるような気持ちで損切りを続けていた。だが、私はまたおしゃれ花で一勝負する作戦を考えていた。

「自分でまとめ売りまで買い上げて無理矢理値上げを狙うのは悪手だ、梱包しながら値段を釣り上げて行けば良いのでは?」

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例えば上図のような感じで、単価2300以下は全部自分で買って、2300を超える価格で出されたものを自分以外の誰かに買わせれば自然に値上がるのではないか、という考えである。梱包用のバラ売りを自分で買い集めればまとめ売りの出品ペースは落ちるし、まとめ売りが出てこなくなればその価格も必然と上がってくるだろう、という算段。自分で値段を釣り上げるのではなく、供給を牛耳ることで価格をコントロールできないだろうか。

そして、土曜日となった5月10日からその戦いは幕を開けたのであった。

最後に残った道しるべ

5月10日 午前10時 所持金 129万 おしゃれ花単価 2770 おしゃれ花所持数 2486

供給を牛耳るやり方は、本来であれば梱包したらすぐに売却してしまうようなものだけ手元に貯め続ける分、リスクなく進められるはずだった。しかし、土曜は売れるペースが悪すぎた。99個売りで265900、バザーのマージン5%をを引いて1個あたりの手取り単価2551の値段でバザー最安値はキープできていたが、梱包しても利益が出ないギリギリの2500以下を買い占めてもなかなか商品がさばけない。その悪循環が続き、午後6時半、ついにバラ売りを買い支える現金が尽きる。これでもダメだった――、つまり需要を供給が完全に上回っていた、ということ。

バージョン2.1が始まってから約1ヶ月半、もう退魔装備は欲しい人に行き渡ってしまったのか? これからしばらくは次の新装備待ちで今の最新装備は売れ行きが悪くなっているのか? スライムおしゃれ花2940個を抱えたまま、この日もバザー最安値から大幅に下げて値付けする人達に絶望するしかなかった。

わたしの、最高の友達

5月11日 午前10時 所持金 372万 おしゃれ花単価 2410 おしゃれ花所持数 1725

その翌日、5月11日(日曜)。夜にバザーに出しておいた99個売りが、全部売れている状態からスタートしていた。99×8で792個が完売し、これは在庫を一掃できそうな気配。もう贅沢は言わない、損切りでいいからもう他の遊びをしよう。99個売りのバザー最安値は239600、前日の同じ時間帯より2万以上も安い。

しかし、ある1つの指標がその日は違っていた。退魔のぼうしのバザー出品数が、前日夜の830程度から減って790くらいになっていたのである。つまり、その数だけ退魔のぼうしが売れた、ということに他ならない。その勢いのまま退魔のぼうしの出品数は減り、午後2時には745まで減った。退魔のぼうしに需要が来ている――淡い期待と共に、梱包作業を重点的に行い、安い出品も積極的に自分で買い取ってリスクを背負っていく。その甲斐あってか、午後4時頃には残りの手持ちおしゃれ花も残り3桁となり、資産の合計額も朝より50万程増えていた。需要が、来ている。

5月11日 午後4時 所持金 612万 おしゃれ花単価 2464 おしゃれ花所持数 870

その後も少しずつおしゃれ花を買い集めては売却し、を繰り返しているうちにおしゃれ花の相場は下がり続け、梱包をしてようやく少しの含み益が出る状態に。額面上の資産は漸増しているものの、バザーを監視する自分の神経は磨り減るばかり。前と同じように、リスクを膨らませ続けているのだ。そして、寝る前に99×8セットを仕込んでおいたものが月曜の朝までに全部売れて、これで残り300個強。ようやっとおしゃれ花をバザーに全部置いておける量に。これで11日~12日朝の収支もプラスで乗り切ることができた。長かった……。

5月11日 午後11時 所持金 596万 おしゃれ花単価 2314 おしゃれ花所持数 1095

反省会

ハイ、完全に高値の天井を掴まされていました。投機としては最大級のド失敗、センスないのにも程がありますね。

バザーの相場推移も、10日になってようやっとチェックしました、勝負していたのにしては遅すぎるタイミングですね。ちょうどゴールデンウィークに入る前は、買い占めを始める直前の半分くらいの値で推移していたみたいです。つまり、直前にバブル的に値上がりしていたものに対して買い占めをかけ、高値を掴んだ後に暴落が始まるという最高にオマヌケな顛末でありました。梱包中もほぼずっと供給のほうが過剰で、全然売れないのに「今は売れない時間帯、○時になれば職人が……」などと自分に言い聞かせて梱包してました。完全にヤバい人です。

損益の話をすると、前半の買い占めフェーズで200万くらいの損失、後半の梱包フェーズで50万くらいの利益、トータルで150万くらいの損失でした。おしゃれ花を大量に抱えている時に相場を大幅に下げて出品してくる人に対する悪意の感情、これは人を殺せますね。もちろん、いくらで出品しようが当人の勝手なのですが。

スライムおしゃれ花に関しては、次のアップデートで新装備が出たら需要が一気に減ることも考えられるので、これからも徐々に価格は下がっていくでしょうね。さて、次は新装備で使いそうなアイテムを考えましょうかね~。(懲りていない)

資産管理に使っていたExcelシート

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*1:店売り5000ゴールド